財産評価基本通達7は、相続税の計算をするときの土地の評価単位について、7-2はそれぞれの地目の評価単位について取り扱いを定めています。
財産評価基本通達7、7-2は非常に長く、読みにくいので、文中の括弧書き等を省略して記載してみます。(ご自身で土地の評価単位を判断されるときは、必ず、国税庁ホームページの省略されていないものをご参照ください。)


1.財産評価基本通達7

財産評価基本通達7によると、評価単位は、第1に「地目別」で判断することとなっていますが、ここでいう「地目」は、固定資産税の納税通知書や土地の全部事項証明書(登記簿)に記載されている「地目」ではありません。
8行目に「地目は、課税時期の現況によって判定する」とされているように、課税時期による利用状況によって地目を判定します。
また、注書きにあるように、(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行うこととされています。
不動産登記事務取扱手続準則第68条及び第69条をご紹介すると非常に長くなってしまうので、ここでは掲載いたしませんが、不動産登記事務取扱手続準則でよく問題となる宅地の地目の判定のみ、次でご説明します。

2.宅地の地目の判定について
宅地の地目の判定については準則67条に「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」と書かれていますので、宅地は、宅地の敷地部分だけではなく、家庭菜園や駐車場なども含まれることがありますが、この家庭菜園や駐車場については、その規模や利用状況により、宅地と合わせて評価すると判断される場合と宅地と別に評価すると判断される場合があります。。
この「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」の解釈について、平成17年5月31日裁決では、次のように述べられています。
「評価基本通達7は、土地の価額は地目の別に評価する旨を、また、地目の判定は準則第117条及び第118条((※筆者注:平成17年改正前の条文番号)に準じて行う旨を定めており、準則第117条は、宅地について「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と定めている。
したがって、相続税の財産評価における地目判定上の宅地とは、単に建物の敷地のみをいうのではなく、建物の敷地の維持若しくは効用を果たすために必要な土地も含まれる。そして、ここにいう「維持若しくは効用を果たすために必要な土地」とは、建物の風致又は風水防に要する樹木の生育地及び建物に付随する庭園又は通路等のように、それ自体単独では効用を果たせず、建物の敷地に接続し、建物若しくはその敷地に便益を与え、又はその効用に必要な土地をいうものと解される。
また、「維持若しくは効用を果たすために必要な土地」に当たるか否かは、その土地の利用目的及び土地全体の現況に応じて判断することが相当であると解される。」
つまり、宅地に隣接する家庭菜園や駐車場が、「それ自体単独では効用を果たせないもの」、「建物の敷地に接続しているもの」、「建物若しくはその敷地に便益を与え、又はその効用に必要とされるもの」でしたら、宅地に含まれることとなります。

3.財産評価基本通達7―2について

財産評価基本通達7―2は上記のとおりです。
つまり、土地の評価単位は、財産評価基本通達7により、課税時期の地目別に分けて、次に同通達の7-2により地目別ごとの評価単位に分けます。
例えば、宅地は、利用の単位となっている1区画の宅地を1つの評価単位とします。
そして、この「利用の単位」というのは、その宅地がどのように利用されているのかということですが、これについては、平成25年10月1日公表裁決に解釈が述べられているのでここでもご紹介します。
「評価通達7-2の(1)は、宅地の価額の評価については、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)を評価単位とする旨を定めているところ、課税実務上、評価通達7-2の(1)の定める「1画地の宅地」とは、その宅地を取得した者が、その宅地を使用、収益及び処分をすることができる利用単位又は処分単位であって、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除く。)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分することとされている。」
つまり、利用の単位というのは、「宅地」としてどのように利用されているのかということで、宅地を他人に賃貸借契約で貸している場合は、他者の権利が存在すると考えるので、その他者の権利の種類及び権利者の異なるごとに区分します。

また、(注)のところで、「「1画地の宅地」は、必ずしも1筆の宅地からなるとは限らず、2筆以上の宅地からなる場合もあり、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もある」と書かれているように、2筆以上の宅地が一体として利用されている場合は、2筆の土地を合わせて「1画地の宅地」としますので、登記簿などで評価単位を判断すると間違えてしまう危険があります。
ご注意ください。